災害対応・マニュアル

聴覚障がい児・者は音声情報が入らない為、必要な情報が得られません。これまで起きた数々の震災の中で、聴覚障がい児・者は常に情報弱者となってきました。

 

そこで当センターでは佐藤万美様を講師にお招きして「災害対応」をテーマにした講習会&ワークショップを平成29年9月18日に開催しました。

 

併せて長野市聴覚障害者協会様が作成した「知ってください 私たち聴覚障害者のことを~災害マニュアル~」と鳥取県が普及に取り組まれている「防災サイン」をご紹介します。

 

今後も法人の事業活動やHPでの発信を通じて、広く聴覚障がい児・者への必要な配慮や理解啓発につなげていきたいと考えています。

 

 

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平成29年9月18日、「災害対応」をテーマに開催しました。18日の朝は大型台風が秋田沖を通過していて申し込まれた方からのキャンセルもありましたが、約80名(スタッフ含む)で無事開催することが出来てよかったです。

 

開催の目的は「災害はいつ起こるか分からないので、日頃からの備えが大切」であり、東日本大震災や熊本地震に限らずですが「聴覚障がい児・者は災害時には常に情報弱者になること」を発信し、理解啓発につなげたかったからです。

 

小さな法人が開催した講習会&ワークショップですが、ご来賓として(下の画像左から)佐竹敬久秋田県知事、辻直文秋田市福祉保健部長(秋田市長代理)、竹下博英秋田県議会議員、加藤薫秋田県聴覚障害者支援センター長からご挨拶をいただきました。

 

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講師は山形県から佐藤万美様をお招きしました。HAPUNE代表として聞こえる人と聞こえない人の間の壁をなくすための活動に取り組まれているろう者です。

 

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佐藤万美様はHAPUNEだけにとどまらず様々な活動をされているので、そちらについてもたくさんお話しを聞きたかったのですが、時間の都合上、防災にテーマを絞らせていただきました。「ろう者・難聴者・中途失聴者のための震災情報提供サイト」の管理人で、サイトを立ち上げた思いや災害時に必要な配慮を中心に講演していただきました。

 

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自己紹介の後、サイトを立ち上げたきっかけをお話ししていただきました。「東日本大震災」のときにテレビからの情報が不足していたこと、また被災地の友人から色々と話を聞いているうちに「何とかしたい」でも「またこんな大きな地震はこないだろう」と思ってしまったそうです。ところが熊本地震が発生、熊本の友人に聞いた話としてどちらにも共通していたのは「情報が得られない」ということでした。

  

そこで有志達に呼びかけて、熊本地震から3日後に震災サイトを立ち上げました。サイトでは「手話が出来ない人・日本語が苦手な人もいることを考えて日本語はできるだけ短い文で簡単な文に置き換えて、手話と字幕をつけて震災情報を伝えていくことを心がけている」そうです。

 

震災時に起こった問題点として「配給情報が伝わらない」「テレビやネットから情報が得られない」「周りの人から生活音で誤解される」「停電時は会話が困難(熊本の例)」「手話通訳者の確保が困難(人員・技術不足)」などを指摘されました。

 

日本では官房長官の会見の時、少し離れた横に手話通訳者がいるのですが、テレビではすぐ官房長官をアップにしてしまうため手話通訳者は映りません。でも海外、たとえばイギリスやアメリカなどでは話す人のすぐ隣で手話通訳しますし、もちろんテレビにも両方映ります。この違いは「手話通訳者の存在が軽く見られているからではないか?」と指摘されていました。

  

テレビから情報を得られないことを解決するためには、普段から全ての番組に字幕をつけて、緊急時は手話ワイプをつけられるようにすること。そのためには手話通訳や字幕への理解と尊重が必要で、それが改善できれば聞こえない人にも平等に情報を届けることができるのではないかと話されました。

 

東日本大震災の時は、手話通訳者自身も被災者となったため、宮城県で実際に動けたのは3~5人ほどだったそうです。秋田県でも約5,000人の聴覚障がい児・者に対して手話通訳士は19人、手話通訳者も含めるともう少し多くなりますがいずれにしろ充分にカバーできる人数ではありません。県レベルで他府県の手話通訳者と連携を取ることや早急に手話通訳者の育成が必要で、そののためには「国を挙げて手話通訳者の地位向上が必要」だと話されました。

 

避難所などでは聴覚障がい者は見た目だけでは分からないため、何に困っているのか分からず、様々な誤解が生まれ孤立を招くと指摘されました。

 

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情報を伝えるためには手話以外のコミュニケーション方法、たとえば「筆談や身振り手振り、空文字、手のひらに書く文字」があることや「どんな小さなことでも情報を伝えて欲しい」「防災無線や避難呼びかけが聞こえないので呼びかけてあげて欲しい」「震災時は情報が入らなくなるのでどんどん声かけしてあげてください」と呼び掛けられました。

  

最後に震災時に役立つグッズやアプリ、手話を紹介していただきました。講演時間がオーバーしたこともありワークショップの方は質疑応答と感想になってしまいましたが、ここに書ききれないほどとても内容の濃い素晴らしい講演でした。佐藤万美様、ありがとうございました。

 

防災がテーマということで報道機関の関心も高く、当日夜の「みんなのニュース(AKT秋田テレビ)」「ニュースevery(ABS秋田放送)」、9月19日の秋田魁新聞、朝日新聞(秋田版)で紹介されました。広く発信できたことで多くの方に関心を持っていただければ主催者として嬉しい限りです。またこのような機会を設けたいと考えています。

 

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聴覚障がい者への災害時における対応でとても分かりやすいマニュアルがあります。

 

長野市聴覚障害者協会様と長野手話サークル様、デフネットながの様の共同で活動した「災害対策委員会」が平成20年度に作成したマニュアルです。
災害時に聴覚障がい者がどんなことに困るのか、どんな配慮が必要か…など、多くの皆様に知っていただきたいことがまとめられています。
転載の許可をいただきましたので、ご紹介させていただきます。

 

 

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(Special thanks 長野市聴覚障害者協会様)

 

 

 

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鳥取県では「防災サイン」の聴覚障がい者向けの動画を公開し、普及に取り組まれています。水害時などに、聴覚に障害のある人は情報が届きにくく命に関わります。災害はいつ起こるか分からないため日頃の備えが大切です。許可をいただきましたので、鳥取県県土整備部河川課のホームページから転載してご紹介します。

 

 

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・手話とジェスチャーを組み合わせた視覚的な情報伝達手段です。

・水害発生時などの緊急時に耳の不自由な方に対して、即座に避難を呼び掛けることができます。

 

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ここで紹介する防災サインは、千代川流域圏会議(会長・道上正䂓(みちうえ まさのり)鳥取大学名誉教授)が水害から被害者をなくすための取組の一環として、平成26年度から作成に取り掛かり、公益社団法人鳥取県聴覚障害者協会や地域の手話サークル等の協力を得て、平成28年度に作成したものです。 鳥取県では「支え愛」による地域防災力の強化を図るため、千代川流域のみならず、県内全域への防災サインの普及を進めています。  

 

 

鳥取県河川課 防災サイン チラシ.jpg

 

 

緊急時に避難を呼びかける防災サイン.jpg

 

 

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pdf 鳥取県 防災サインのチラシ.pdf (0.2MB)

 

pdf 鳥取県 防災サイン一覧.pdf (1.02MB)

 

 

防災サインPR動画 ~水害に対する被害者ゼロに向けて~「防災サイン(基本編)及び(応用編)耳の不自由な方への避難の呼びかけ」 を紹介した動画も公開されています。下のリンクからご覧いただけます。

 

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